魔王の凱旋

オリジナルの小説をちまちま書いていきます。

六話 戦闘と.....

やれやれ、ちょっと挑発したらこれだ。
僕は彼に殴られた左の頬をさすりながら言葉を続ける。
「話は最後まで聞いてください。僕は実行者直属の上司ですが、この件に関わってはいないんですよ」
「..........なら、何故ここに来た」
あーあ。瞳孔が開いちゃってるよ。これは相当キレてるな。すんなり殺せないじゃないか。
「簡単な話です。部下の尻拭いですよ。イグニール族の殲滅、まだ終わってないんで...............さっさと死んでください」
ポケットに隠し持っていた拳銃を相手に向け、『魔力発生源を首から腕に移し』素早く3回発泡。彼は何が起きたか理解してない様子だ。なんだ、案外楽かもしれない。


...............どういうことだ。奴のマフラーを棚引かせている何かのエネルギーが腕に移った瞬間、弾丸が肩を貫いていた。幸いギアの恩恵で回復はしたものの、早く行動に移らないと敵を取るまでもなく死んでしまう。早く、攻撃を。
「ジェットブーツと、ブレードッ!」
足に想像したジェットブーツの力で、相手の弾丸を紙一重で避ける。そのまま推進力を利用して相手に切迫。右手に想像したブレードを使い思いっきり切りつけた。
「痛いです.....ねえッ!!」
次の瞬間、相手のつま先に移動した謎のエネルギーと、強烈な蹴りをくらって激しく後ろに飛ばされた。
「ぐはッ..........!?」
「あぁもう、早く死んでくれればいいものをォッ!!喰らえ『黒夜流星群』ッ!!」
いつの間にか二丁になっていた奴の拳銃から、何十もの黒い弾丸が空へ打ち出される。太陽光で煌めいたそれが、雨のように俺めがけて降ってきた。
「..........これも防ぐんですか。しぶといですね貴方」
「.....村のみんなの仇がとれてないのに死ねるかよ。『レールガン、マシンガン』。今度はこっちの番だ.....高エネルギーの雨を喰らえ」
何百ものエネルギー弾が、威力の大きなレールガンの弾を取り囲むように相手をめがけて突き進む。光の速さで進むそれを避けきることができず、相手の肩が血だらけになった。
「痛ってェ..........やって、くれますね。大体なんですかその能力。貴方魔法使えないはずでしょう」
「あぁ。あんたの部下とやらに殺されかけたおかげで手に入った能力だ。礼を言っといてくれ」
「本ッ当に.....使えない部下だなァ」
「お前もそろそろ限界だろ。『ジェットブーツ、アサルト』、そろそろ死ねよ」
ブーツの力で一瞬で肉迫、頭を掴んで地面に叩きつけ、銃口を頭に突きつける。
すると、奴の武器に気になるものを見つけた。
「お前それ、人界製の武器だろ。こっちには出回ってねぇはずだ。どこで手に入れた?」
「これですか.....僕は貴方達の言う、人界から迷い込んで来たんですよ.....」
「..........。なら、なんで魔王軍に入っているんだ」
「自分の世界じゃない以上、その世界で一番大きな組織に入るのが一番安全だと考えたんです.....結果人殺しにはなってしまいましたけどね」
「じゃあ、お前が魔王軍に執着する理由や、裏切りに対する罪悪感もないわけだな?」
「..........どういう、ことですか?」



「..........お前、俺の仲間になれよ」