魔王の凱旋

オリジナルの小説をちまちま書いていきます。

七話 これから

「..........え?なんだって?」
「いや、だから.....魔王軍の幹部だったやつを仲間にして連れてきたって言ったんだよ」
「あ、どうもこんにちはー」
「いやいやいやいや、ちょっと待ってくれ。頭が爆発しそうなんだが.....」
彼を送り出してから一日たったが、どうやら私の想像以上の結末になってしまったようだ。

確か彼は、一日前、村の仲間の仇を打つために魔王軍を殺すのが目的だったようだ。だがしかしこれはどういうことだろう。多少大怪我して帰ってくるかな、とか思っていたら大して怪我もしてないし、あまつさえ変なおまけがついているじゃないか。
唸り声をあげて悩みを顕にしていると、少し困った様子で彼が話しかけてきた。
「先生、少し悩みすぎじゃねーの?.....こいつ、元々人界の生まれらしくてな。自分の身を守るために魔王軍にいたらしいんだ。どうやら別に執着もしてねぇみたいだし、内部状況を知ってるやつがいると心強いから、仲間になってもらったんだ」
..........なるほど、そういうことか。
しかし、人界の生まれか..........。
「ミラ・ヴィータだ。よろしく頼む。ミラか先生とでも呼んでくれたまえ」
「ご丁寧にどうも。ヨル・ストラトフォールです。よろしくお願いします」
「...........お前、そんな名前だったのか」
「あれ、言ってませんでしたっけ。よろしく、ディアブロさん」
...............仲間にした張本人が名前を知らないってどうなんだい。

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「とりあえず、これからの目的は決めた。俺は魔王軍を潰す。現魔王を殺して、この世界を変えてやる」
さっきの紹介から10分後、今後どうするのかという話になって、ヨルを引き入れた時に決意したことを明確に言葉にしてみた。
「現魔王を殺す、か。それはまた大きく出たね」
「魔王か。僕もあまり情報は持ってないんですよね。それどころか、幹部の中でも魔王を目にしたことがあるやつって数人しかいないらしくて.....」
「とにかく、だ。もう仲間を殺されるのはたくさんだ。俺は、強くなって魔王軍を潰したい。そのために、各地の魔王軍支部を回りながら魔王を殺す」
「強くなるって言ったって、どうやって力をつけるんだい?ギアにたよるには限界があるーーーー」
「先生、ギアって別の能力を使いながら使う事って可能か?」
「あ、ああ。人が1つしか持つことができない属性魔力に、別の属性魔力を追加することができるのがギアだからね」
「じゃあ大丈夫だ。ここに初めて来た時に俺言ったよな。一族に伝わる能力継承の儀の途中で村が襲われたって」
「あぁなるほど。つまりそういうことか..........!!」
「俺はもう一度村に戻る。そこで、俺の能力を手に入れるために」
「あの、僕おいていかれてるんですけど.....」
「悪いけど後で先生に聞いてくれ。急ぐから今から戻る。じゃあな」
そう言って、俺はドアを開けて走り出した。
「..........全く、勝手な男だ。さて、何から話そうか」