魔王の凱旋

オリジナルの小説をちまちま書いていきます。

四話 ギアのトレーニング.2そして

いきなり3体の人形と戦うことになった訳だが.....。
「ぐぁっ!」
3体の人形から繰り出されるコンビネーションに、俺は苦戦していた。
武器を想像するにも、しっかりしたイメージが必要らしい。かと言ってずっと攻撃を受け続ける訳にもいかない。
「まずは1体でも片付けないとな.....」
手数は少なくとも、威力が大きければなんとかなるかもしれない。うってつけの武器といえば.....
「やっぱさっきのレールガンしかねぇか」
あれならさっき使ったからいけるはずだ。思い出せ.....!
「.....よし」
右腕がレールガンに変わった。あとは狙いを定めて..........打つ!!
光弾が銃口から打ち出される。光の速さで飛ぶエネルギーが、機械人形を1体、鉄クズに変えた。
「やっと1体.....!」
あと2体もこれで倒せるだろう。そう思ったのもつかの間。
「....................ガハァッ!?」
重い拳が、腹に入ってきた。
体が地面から離れて壁に向かっていく。吹き飛ばされた体が、壁に強く打ち付けられた。
「..........さっきより速くなってやがる」
レールガンは弾を装填するのに少し時間がかかる。
威力はそのままに、できるだけ手数を増やす。そんなことができる武器は.....
「...............マシンガンか」
そう、マシンガン。弾の大きさこそ小さくなるが、あれなら手数は多い。
そうと決まればやることは2つ。
次の攻撃が来る前に集中、想像。
「..............................」
右手が作り変わる感覚。確認する暇なんかない。次の攻撃がやってくる.....!!
集中集中装填装填ほらほら拳が迫ってくるよけろよけろよけろ!!よけ終わったらさっさと攻撃だと自分の体に命令を送りながら人形達から距離をとる、エネルギーは貯まった。次の攻撃が来る前に.....!!
「....................鉄クズに、なれやァッ!!!」
目の前が弾の雨による光で埋め尽くされる。次の瞬間、目の前には鉄クズが2つ、目の前に落ちていた。

「.....終わった..........」
スタミナが切れて床に横たわる。右腕が軽くなったから、能力も切れたらしい。
「お疲れ様。初めてギアを扱うにしては、なかなかの戦いだったんじゃないかな?」
「うる.....せぇよ..........いきなり.....戦わせやがって.....」
「いやいやごめんごめん。まぁ勝てたからよかったじゃないか」
それはそうだけど.....いきなりキツすぎんだろ、コレ。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

「さて、一応能力には慣れたと思うが、君はこれからどうするんだい?」
「.....そうだな、多分まだ魔王軍の奴等が村に残ってると思うからーーーー」

「ーーーー村に戻って、そいつらを殺す。生き残ったのは俺一人だ。復讐したいと思うのは当然だと思うが」
「うん、まぁ私は別に復讐云々に口を出す気はないよ。ただまあ.....」
少し躊躇った様子を見せながらミラは続ける。
「怒りに身を任せるのだけはやめてくれ。君の力の鍵は想像力なんだ。冷静に、状況を把握しながら戦ってくれたまえよ」
「..............................あぁ。善処するよ」
言いながら俺は立ち上がる。
「早いに越したことはない。今から戻る」
「うん。..........気をつけて」



☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

ディアブロが住んでいた村で、2人の男が対峙していた。月明かりで地面が照らされる中、片方は既に虫の息だ。
「なんで...............お前が俺を.....仲間...............だろ..........?」
「.....なんで、ですか。そうですね、まぁ貴方が任務を失敗したから、ですかね」
「任務は.....成功.....したはず..........村の人間は...............全員.....殺しただろ.......?」
「甘いんですよ。貴方1人逃がしてますね。ディアブロ・イグニール。彼がいないじゃないですか」
「そんな..........俺は確かに.....殺した.....はずだーーーー
グチャッ。虫の息だった男の頭が潰れる。血まみれの土に、新しい血の水たまりができた。
「ごちゃごちゃ五月蝿いんですよ。失敗は失敗。さっさと死ねばいい。」
男を殺したのは17歳くらいの少年のようだ。少年は続ける。
「はぁ。異世界..........、授業で習った限りでは魔界だっけ.....に迷い込んでから3ヶ月。運良くそこにあった大きな組織に入れたのはいいけど、元の世界に戻る方法はわからないし部下も使えないし......」
「...............僕が本気でやるしかないか」
土埃をはらいおとして、少年は決意した。